日本は周囲を海に囲まれており、海で世界とつながっています。
普段の生活の中で直接目にする機会が少ないのであまり知られていませんが、日本の輸出入の9割以上を海運が担っており、日々様々な荷物が船で運ばれています。私たちも日本の暮らしと経済を支える一翼を担う海運会社の一つですが、その数ある貨物の中でも、私たちが運んでいるのは「冷凍まぐろ」です。
皆さんは日本にいる私たちが、何故遠い海で泳いでいるまぐろを刺身で美味しく食べる事が出来るか知っていますか?
その重要な鍵を握るのが、温度です。
まぐろは、酸化や乾燥が起きにくくなる超低温と言われるマイナス50~60℃の温度帯で保管する事で品質を保つことができます。冷凍まぐろの運搬に特化した私たちの船には、まぐろの鮮度を落とすことなく輸送する為の超低温設備があるのが特徴です。
私たちの事業の柱は主に2本、「蓄養まぐろ船上加工凍結事業」と「超低温冷蔵事業」です。
蓄養まぐろ船上加工凍結事業では、取り上げられた生鮮の畜養まぐろを、船上で内臓等の下処理後すぐ急速凍結し、水揚げ地まで運んでいます。
まぐろの鮮度を落とさないよう、培ってきた技術で取り上げから凍結までの時間を短くする事に努めています。
超低温冷蔵事業では、大海原を泳ぐまぐろを追う遠洋まぐろ延縄漁船の代わりに、漁船で凍結までされた天然まぐろを洋上や港で受取り、水揚げ地まで運んでいます。
遠洋まぐろ延縄漁船は、一度出港すると数か月から長い場合1年以上航海をする為、漁に使う餌や燃料及び生活必需品を届けたりする、洋上のデリバリーサービスの一面もあります。
一口にまぐろと言っても、その代表的な種類はクロマグロ(本マグロ)・ミナミマグロ(インドマグロ)・メバチマグロ・キハダマグロ・ビンナガマグロ等が挙げられます。今日の日本においてまぐろが庶民的な魚になっている一方、資源管理の為に厳しく管理されている魚でもあります。回遊魚であるまぐろは、餌を追いかけ広範囲を移動する為、世界の海域ごとに5つの国際管理機関があり、資源管理の厳しいルールが定められています。私たちは持続可能な水産資源の管理に協力しながら事業を推進しています。
蓄養まぐろ産業は、天然まぐろの減少により育てる漁業として注目され、海外ではクロマグロ(本マグロ)とミナミマグロ(インドマグロ)の漁場が近い豪州・地中海・メキシコ沿岸等で盛んに行われています。私たちがまぐろを安定的な価格で食べられるようになったのは、この畜養まぐろのおかげでもあります。私たちはその漁獲シーズンに合わせて各地へ配船して事業を行っています。
天然まぐろは、種類により旬の時期や漁場が異なる為、私たちの船の航路も漁期に合わせインド洋・大西洋・太平洋と様々です。
魚を生食する習慣のある日本人にとって、まぐろと言えば刺身や寿司の定番で、日本の食文化に縁が深く、長きにわたり愛されてきた魚のひとつだと言えるでしょう。
私たちは、冷凍まぐろ運搬のスペシャリストである認識と誇りを持ち、日本の豊かな食を守る為、日々世界のどこかでまぐろを運んでいます。
私たちはまぐろで日本と世界をつなげています。